ここを目指して二日市、久留米、鳥栖、基山、そのほかからいくつもの鉄道が計画され、その多くが実現した。
もっとも、軽便鉄道もしくは軌道が大半で、西鉄甘木線以外は国鉄甘木線やバスの台頭によって姿を消していく。
僕がこの甘木に興味を持ったのは、西鉄の軽快車200形が走っていたからで、この車両は本来は大牟田線で高加速の普通列車用として登場したものだ。
それゆえ、気動車の設計を取り入れた小型車体に半円形5枚窓の前頭形状は、話に聞く阪神801形の九州版を思わせてくれた。
さて、僕が九州へ頻繁に通ったのは国鉄時代の「精勤パス」が使え、しかも急行「雲仙・西海」「阿蘇・くにさき」があったころで、精勤パスでも特急に乗れば特急券が必要、急行ならそのまま追加料金などなしで乗ることができ、資金の乏しい時にはありがたかった。
14系座席車の寝苦しさに最初は閉口したが、やがてそれすら快適と思われるようになるほどに九州へ通ったものだ。
甘木には何度か通った。
いつも終点まで乗り、短尺ホイールベースの軽快な乗り心地を楽しみ、半円形電車の醸し出す独特のムードに酔いしれたものだ。
この辺りの感覚は名鉄揖斐線と似ているのかもしれない。

そして、甘木終点近くで国鉄甘木線が並行して存在していた。
国鉄甘木線は日中は殆ど運転がなく、一日で7往復だけの路線でついでに乗ってくるという訳には行かなかった。
だが一度だけ貨物列車を見ることができた。
貨物列車の後追い。

西鉄甘木線独特のムード。
半円形電車を何両も繋げた編成は見ていて楽しい。
3両編成。
4両編成もあった。
こちらは小石原川橋梁を渡るシルエット。
やはり名鉄揖斐線510・520形と同じ空気を感じる。
撮影ポイントは殆どが駅から歩いて数分の、川を渡った場所だ。
なぜか夏の訪問ばかりだ。
ク62を繋いだ2連、小型車ばかりの甘木線で2連では乗車定員が少ない。
後に甘木線が第三セクター化され、甘木鉄道となった。
甘木鉄道は列車の運行を大幅に増やし、福岡への通勤通学に使えるように、小郡駅を西鉄小郡駅そばに移設、これが好評を呼び乗客は大幅に増えた。
第三セクター鉄道としては全国的にもトップクラスの成功例だ。
甘木鉄道甘木駅。
国鉄設計とは思えるお洒落な駅舎だ。
西鉄甘木線の乗客が便利になった甘木鉄道へ転移し、西鉄が苦しくなるかと思ったがそれほどではなかったらしい。
西鉄甘木駅に停車する200形。
この頃は駅近くに大型スーパーもあった。
この頃は駅の上屋がない。
停車するク62、ク60形は元をただせば博多湾鉄道汽船の気動車で、車体寸法がほぼ200形と同じで、200形の連結相手として活躍していた。
西鉄甘木線は宮の陣で西鉄小牟田線に連絡するがそのまま久留米を経て花畑まで直通する。
久留米駅での200形の様子。
賑わう駅、可愛い電車が入る。
ク62形を先頭にした編成が久留米駅に入線。
駅に停車する200形。
当時は大牟田線も随分と面白かったものだ。
2000形特急はその貫録を見せつけてくれた。
戦後の流線形1300形も姿を見せてくれる。
先だって本当に偶然から一日の福岡訪問をすることができ、甘木を再訪できた。
甘木鉄道甘木駅は健在。
甘木鉄道の気動車は標準的な大きさの軽快気動車に変更されていた。
西鉄甘木線はなかなか良いデザインの7050形になっていた。
通い詰めた線路が並行するあの田圃は巨大なソーラー基地となってしまい、もはやそこでの撮影はできそうになく、小石原川の土手で列車を眺めた。
橋梁も改築され、電車の下回りが写らなくなっている。
そこへ、西鉄電車と甘木鉄道の気動車が同時にやってきた。
活発な鉄道路線が二つもある甘木は、今は朝倉市の一部となった。
かつての朝倉郡全体で市制を施行したためだ。
西鉄甘木駅。
国鉄甘木線、貨物列車が遠ざかる・・
その同じ風景も随分と周囲が賑やかしくなったものだ。
夏空の下を走る半円形正面を持つ電車。
なお至近の大刀洗にはもともと個人が資金を出して運営されていた平和記念館があり、今は町営として戦時の戦闘機、特攻機、そして映画に使われた実物大の模型、地元で亡くなられた方々の写真、詳細な記録などが展示されていて、今回そこへ案内していただくことができた。
是非、読者の方々にも訪問をお勧めしたいところだ。
特に国鉄ネタを楽しみにしています。
さて、コメントの主旨とは違い、私ごとで恐縮ですが
このたび、昭和40年代の鉄道写真から現在のNゲージ遊びに関するブログを始めました。
お忙しいとは存じますが、一度ご一読いただければと思いコメントさせていただきました。
https://www.d51-1018.blog/
もしお気に召せばリンク集にでも掲載しておただければ幸いです。厚かましいコメントで申し訳ありません。
ご案内ありがとうございます。
blog拝見しました。
あの時代、ワタシはSLに関わるどころか、見ることもかなわず、とても羨ましく思います。
また、北丹鉄道の記事はとても良かったです。