Photo Archive:客車列車の消えた年

今、2016年の大晦日の夜・・まもなく2017年を迎える。
この時にあたり、2016年、日本の鉄道にとって最も大きな事件は何だったのだろうかと考えているのだけれど、、確かに北海道新幹線開業、留萌線部分廃止といった大きな社会的な話題はあったが、僕が最も深く感じ入っているのは「客車」列車の廃止・・である。
鉄道はその創業のころ、馬車を進化させた客車列車から始まったのは間違いのない事実であり、機関車がけん引する定期旅客列車の消滅は鉄道史に残るエポックメイキングな出来事と言っていいだろう。

電車であっても気動車であっても、旅客を乗せる以上は「客車」ではあるが、ここでは純粋に動力を持たない、被牽引車である客車のことを指している。

僕が写真を撮影し始めたころ、客車列車はまだ国鉄の表看板といってもよかった。
主要各線の夜行特急・急行はもとより、日中の普通列車、臨時運行される電車列車の増発列車にも客車がバンバン使われた。
僕が国鉄で最も仕事の相手として親しんだのはまさしく客車であり、国鉄高砂工場旅客車職場上回り1組(客車組)に所属し、そこで様々な形態の客車を触らせていただいたことには本当に感謝している。
客車黄金時代のその余韻を十分に身体で味わうことができたからだ。
高砂工場入場待機線、ナハネフ2225。
高砂ナハネフ2225.jpg

大好きだった余部橋梁の客車たちから。
まずは餘部駅の風情。
客車の旅情まさにここに尽きるという感じだ。
餘部駅情景.jpg

雪の山を背景に堂々たる客車普通列車が行く。
餘部DD51スハフ42ほか客車列車.jpg

オハフ33など当時の福知山局の標準だった編成が行く。
余部DD51オハフ33他下から.jpg

12系化された普通列車。
素晴らしいサービスの列車だったが短命だった。
この車両の改造工事を任せてもらったことは今も嬉しい記憶である。
餘部DD51オハ12系客車列車.jpg

宗谷本線勇知を通過する日中の客車急行「宗谷」
勇知DD51オハネ14系「宗谷」.jpg

札幌駅にて「すずらん」、客車に合わせたような低いホームが印象的だった。
札幌14系「すずらん」.jpg

武田尾の情景も・・・
秋の武田尾。
武田尾秋景色.jpg

武田尾駅に入ってくる列車。
武田尾客車列車入線.JPG

長い客車列車編成の中ほど。
武田尾2客車列車中ほど.JPG

冬枯れの河原を行く12系普通列車。
武田尾DD51オハ12系普通.jpg

山陽本線宝殿を通過するEF58牽引、団体臨時列車。
宝殿EF58128オハ12系団臨.jpg

早朝の宝殿駅を通過するEF58牽引、14系座席車の「阿蘇」。
宝殿EF51オハ14系「阿蘇」.jpg

香住付近にて、DD51牽引、14系寝台客車の「出雲」
香住DD51オハネ14系特急出雲.jpg

山陽本線塩屋付近、当時、川の傍から望遠レンズを突き出して撮影したEF65PF牽引25形「なは」
塩屋EF651093なは.JPG

その「なは」後尾、後追い。
ブルートレインほどの存在感を今の列車は持つことができない。
塩屋なは客車カニ24.JPG

トワイライトカラーEF81による団体臨時列車。
塩屋団臨EF1113.JPG

多分、一番最後まで客車列車の原形ともいえる形態を維持していた、別府鉄道土山線の列車。
ハフ7・ハフ5を連結した豪華な混合列車だ。
別府鉄ハフ7・5.jpg

JR以外の客車列車としては大井川鉄道と黒部峡谷鉄道が大規模な客車列車の運行を行っているが、大井川鉄道のものは国鉄の再現という形であり、とても興味深く、また、僕が担当していた客車も入っているなど、ちょっと思い入れもある。
2016年春の家山、まだ早春という雰囲気だった。
大井川家山C1144かわねじ.jpg

JR西日本では営業に供される客車編成はわずかに3本、そのうちの一本が「サロンカーなにわ」の14系。
夜の帳がおりた垂水駅を通過する。
1008垂水なにわEF651135B.JPG

その列車の後尾。
「トワイライトエクスプレス瑞風」がハイブリッド気動車となった今、新しい観光用の客車列車の登場の見込みはまずない。
1008垂水なにわ後尾C.JPG

JR西日本は社長会見で「リーズナブルな夜行列車」の復活を発表したけれど、「電車型かハイブリッド気動車か」とのことであり、ここでも客車の登場は見込めない。
ただ、山口線12系の置き換えとしての新型客車がまもなく登場するはずで、これがもしかしたら日本の鉄道最後の客車の新製になるのではという危惧を僕は持っている。
(もっとも、黒部峡谷などは今後も必要に応じて車両の製造は行うだろうが、それは僕らの思考の「客車列車」というイメージとはやや異なると思う)

国鉄の歴史上、最も美しい客車と信じて疑わない20系客車、「だいせん5号」来待駅にて。
20keiだいせん5号来待.jpg

つい先日撮影した、僕にとって最も新しい客車列車写真、DD511192と12系による乗務員訓練、舞子駅にて。
DD511192オハ12系舞子.jpg

客車列車は本来は環境にやさしく、流動的な旅客需要にも対応できる優れた一面も持っている。
是非、また日本の鉄道を客車列車編成が闊歩する日が来ることを切に願うものである。
トワイライト最後尾大阪駅.jpg

この記事へのコメント

  • あづまもぐら

    新年明けましておめでとうございます。

    こちらに移動してからケータイでは写真が拝見出来ずに不便をかこっておりましたが、昨年末に解消しました。

    客車の魅力は、緩やかな加速からレールの轍を刻む音以外には何も聞こえぬ乗り心地に尽きますね。
    確かに電車の付随車にも静寂さは似たものがありますが、連結器由来なのか総体的に何か違うと思えるのです。
    外から眺める場合は、やはり機関車と一体での評価となりますから、その組み合わせでの拡がりに楽しみも増すものです。
    とは言うものの決して電車気動車の魅力を低く見るのではなく、マグロとブリとサンマにそれぞれの旨さがあるに等しい事です。
    2017年01月02日 20:25
  • L急行鷲羽

     こうさん、明けましておめでとうございます。
    客車というと既にノスタルジアの領域にあると言えます。私が鉄道趣味を始めた頃は、客車急行は旧型客車のみで、SLの撮影や貧乏旅行のお供はスハ43の自由席でした。
     時代と共に車両も進化し、客車は時代遅れを否めません。客車は動力源がないので静かと言われますが、案外空調機の音が暗騒音となって煩いようです。
    振動についてもアクティブサスペンションのおかげで客車を上回る乗り心地の車両もあります。とは言え、客車がなくなるのは残念です。JRのセクショナリズムや機関車の乗務員がいないで運行ができないという理由には合点がいきません。JR各社が連携すればなんとでもなると思いますが。分割民営の大きな弊害です。
    2017年01月02日 21:10
  • 宮電のS

    おめでとうございます。
    こうさんの写真を拝見してるといつもタイムスリップ・・・鉄道(国鉄)が大好き大好きでたまらなかった少年時代(昭和50年代前半)に戻ります。
    気動車派だったので客車はあまり撮影しませんでしたが、山陰地方の客車列車は昼行も夜行も結構利用しました。
    今思うと、空調(冷房)も無い車両でしたが決して不快でなく、むしろ窓を開けて旅を楽しむことが出来る最高の列車だったのように記憶しています。
    今年も宜しくお願い致します。
    あと、またいつか機会があれば呑みに行きたいです^^
    2017年01月03日 15:03
  • キンキノヒガシ

    あけましておめでとうございます。皆様方コメント通りノスタルジックな世界かもしれませんが、少しでもその時代を過ごしたものとしてはやり切れない時代になりました。ただまだまだ捨てたものではないと感じながらニュースを追っています。季節柄ご自愛の上活動をお祈りしております。
    2017年01月04日 01:44
  • う~

    明けましておめでとうございます。いつも興味深い数々の記事を有難うございます。
    自分は昭和46年生まれで、小学校の時に「チャレンジ20,000km」が始まったのがきっかけで旅行好きの親父に連れられてあちこち乗りまわり、当時はまだそれなりに残っていた旧型客車にも乗ることが出来ました。中でも夜行「山陰」「はやたま(当時は天王寺に住んでいたので、大阪環状線横の側線で昼寝している姿もよく見たものです)」なども廃止前に乗れたことは、今思えば乗った当時の記憶こそおぼろげですが大きな収穫であり、まだ小学生の自分を乗せてくれた親にも感謝しています。
    恐らく自分らは客車全盛期を知る最後の世代になるでしょうから、このことは語り継いでいきたいと思っています。
    2017年01月05日 21:53
  • こう@電車おやじ

    >あづまもぐらさん

    >マグロとブリとサンマにそれぞれの旨さがあるに等しい事です>

    うまい事言いますね!!!
    いい表現です~~
    ワタシは国鉄入社初期には自分が担当していた客車が実は、あまり好きではなく、電車が一番と思っていました。
    その客車、実際に何度も乗って、いかに偉大な存在であるか・・
    特に、鳥海山のふもとの駅で、さわやかな風を受けながらゆったり停車する鈍行列車に乗っていた時、改めて客車のファンになったように思います。
    何の音もしない静かな時間は客車だけに許された極上の時間ですね。
    2017年01月08日 16:43
  • こう@電車おやじ

    >L急行鷲羽さん

    本年もよろしくお願いいたします。
    確かに最新の特急車両、いや、快速用の電車ですら、嘗ての20系並みの乗り心地ははるかに凌駕しているかもしれません。
    しかし、あの無音というのは、他では得られないものですね。
    電源エンジンの音が喧しい12系14系というよりも、やはり20系、あるいは非冷房の50系、さらにはスハ43一党、これらに匹敵する電車というのはなかなかないのではとも思います。
    客車の欠点の一つである連結器に関しては密着連結器を装備すれば済むことですし、やはり極上の空間を演出するのは、ハイブリッド気動車や、バッテリー内蔵式の電車よりは、「ななつぼし」方式のほうが向いているようには思うのです。

    2017年01月08日 16:51
  • こう@電車おやじ

    >宮電のSさん

    本年もよろしくお願いいたします。
    山陰本線や福知山線は気動車より圧倒的に客車でしたね。
    ワタシも撮影では気動車を、乗るのは客車に・・でした。
    ちょうど今の時期、オハ35あたりの車内で雪景色を眺めながら、窓框に福鉄局特徴の「サッポロ黒」を並べて過ごすあの贅沢な時間・・

    またこういうお話がしたいですね。
    呑みましょう!!!
    2017年01月08日 16:56
  • こう@電車おやじ

    >キンキノヒガシさん

    本年もよろしくお願いいたします。
    時代の流れとはいっても、世界的には客車はまだまだ旅客鉄道の主流であり、いずれ日本でも客車の良さが見直される時が来るのではとも思っています。
    また、そうであってほしいですね。
    2017年01月08日 21:41
  • こう@電車おやじ

    >う~さん

    本年もよろしくお願いいたします。
    客車を知る世代と知らない世代のギャップは大きいかもしれません。
    技術者であれ、鉄道の経営陣であれ、客車を知らない世代が中心になってきているわけで、そういう意味では私たちのように客車を知る世代がもっとその本当の良さを伝えていくことは必要なのかもしれませんね。
    2017年01月08日 21:44