2023年05月21日

Monochrome Memory

僕は国鉄退職後に写真屋になり、当時は未だモノクロが強い時代。
徹底的にモノクロの作業を叩きこまれた。
だからある時期までは撮影する殆どの写真がモノクロだった。

メリットはと言えば、現像プリントを作業のついでにできるので低コスト、そして高品質のモノができるという事だろう。

当時、コダックのトライエックスは長巻での入手も可能だったが、それをすると前後の手順が増えることで、僕自身はコダックの商品を扱う写真展でトライエックスを安価で入手していた。

だが、最初にカメラを持った時の写真はカラーネガフィルムで、モノクロは作業を覚えてからやり始めたという事を白状しておく。
モノクロを教えてもらったのは後に長い付き合いとなる写真店の主人で、中学校の帰り、部活動の如く店の暗室を狩りて写真を焼き付けていたものだ。
さてその頃の写真を‥
昭和50年代前半、姫路駅の80系電車。
80系姫路.jpg

そして未だ一眼レフを持つことが出来ず、OLYMPUSのコンパクトカメラの性能をぎりぎり使って当時としては大冒険な夜の撮影などもやってみた。
トライエックスは増感現像ができて、OLYMPUSのコンパクトカメラのレンズは高性能で明るかった。
通過する特急「富士」
宝殿EF65富士.JPG

ただ、シャッター速度のマニュアルコントロールができず、この時期に流し撮りを覚えたのかもしれない。
こちらも宝殿駅を通過する153系急行「鷲羽」。
宝殿鷲羽.jpg

駅の情景などを写しこむのもモノクロが良いのではと自分で思うようになった。
阪和線天王寺駅で。
つるんとした不思議な旧型国電、ノーシル・ノーヘッダのクモハ60か。
クハ60天王寺.jpg

夜の駅撮りはモノクロの絶好の被写体だった。
そこに人があり、列車がある・・ドラマを生み出すこともできたのではと思う。
札幌駅で、通勤列車の発車合図のために待機する駅員。
S62札幌駅711系発車前.JPG

南海阪堺線(今の阪堺電気軌道)神ノ木駅の風景。
阪堺神之木女性 (2).jpg

京阪七条駅における発車風景。
車掌京阪七条.jpg

大阪駅、長距離列車ホームだった11番線で列車を待つ乗客たち。
S56大阪駅7・11番線.JPG

九州・長崎でも冬は寒かった。
通学長崎309.jpg

谷汲駅改札での風景。
名鉄谷汲線改札.JPG

松江駅で特急「おき」を見送る女性。
発車2松江キハ181おき.jpg

夜の風景なども漆黒のモノクロゆえだからこそ出せる味もある。
大阪駅での581系回送。
S56大阪駅9・581系回送.JPG

西条駅でのEF59。
EF5913西条夜間.JPG

その横に停車した夜行急行、14系。
14系西条駅.JPG

山陽電鉄板宿駅の夜の情景。
山陽板宿夜景1.JPG

冬場だけ見られた別府鉄道野口駅の夜景。
別府鉄野口夜景.jpg

明け方の小郡駅で発車準備中の宇部線電車。
宇部線クモハ51小郡夜景.jpg

古色蒼然とした列車や駅もモノクロームによればさらにその深さを実感できるような気がする。
山陽電鉄月見山駅。
月見山駅旧駅舎.jpg

こちらは京福電鉄福井支社、勝山駅。
京福福井勝山駅舎.JPG

身延線の旧型国電、富士駅にて。
身延線クモハ51半流.jpg

まさに古豪の車内、名鉄モ3350形だろうか。
S55名鉄AL800形車内.JPG

同じ車内でもこちらはドイツ生まれの電車内。
広島電鉄ドルトムント電車。
広電ドルトムント76車内.jpg

一畑電鉄の51形電車。
53一畑.jpg

朝の景色、色のないモノクロームだからこそ出る感情もあるかもしれない。
長崎本線東園付近。
海東園キハ35.jpg

大好きな電車を好きなように撮影する…
デジタル化以前でそれができたのは、低コストで高品質なモノクロフィルムがあってのことだ。
東笠松駅での名鉄パノラマカー。
S55東笠松7500流し_01.JPG

木曽川を渡るパノラマカー、連写のできない当時、よくぞこんな撮影をしようと思ったものだ。
名鉄木曽川橋梁7500流し.jpg

モデルになってくれた女性と組んで撮影できた大阪駅の情景。
ポートレート大阪駅3.JPG

モノクロームの可能性は高い。
完璧に再現されたカラー写真に比せば情報量は少なく、見る人の想像力にゆだねられる。
だがそれこそが、写真の真骨頂だろう。
僕が今まで人様に偉そうに蘊蓄を垂れることが出来るような写真など撮っているとは思えないが、やはり、僕自身、永年モノクロを愛し続けてきたのは事実だ。

雨の日、山陰本線東浜にて。
キハ82「はまかぜ」
キハ82東浜.jpg

だが、今やモノクロは一表現手法でしかない。
聞けば某カメラメーカーからモノクロ専用機も出るという。
だがそれはやや違うと思う。
なにも、デジタルカメラの機能を制限してまでモノクロにする必要はなく、ここはやはりモノクロフィルムの出番ではないだろうか。
だが正直に告白すると、僕はデジタル化後、一切、アナログ写真は撮影していない…
本当はあのモノクロの実感をもう一度味わいたいとは思っているが、コストと時間がそれを許さない。

朝の光の中、古豪電車がクラシカルな駅に入線する。
一畑電鉄出雲大社前駅。
一畑6出雲大社前.jpg

広島駅前の夕方、元神戸市電が転線する。
広電584広島駅前夕方.JPG

四国の表玄関、高松駅は気動車の王国だ。
高松キハ28並び夜景.jpg

冬の武田尾を行く旧型客車編成の普通列車。
武田尾客車編成.jpg

小雪舞う武田尾近く、オハフ33の最後尾に旅情が漂う。
武田尾冬オハフ33.jpg

好きな列車もモノクロームで撮影・・
矢張りカラーで撮るべきだったと当時は思ったものだ。
阪急6300系。
阪急6354上牧.jpg

国鉄部内での撮影。
こういったものこそ、モノクロがほとんどだ。
だがモノクロであればこそ今の時代にも写真がきちんと残る。
マニ36、全般検査の際の様子。高砂工場。
新高砂工場マニ36全般検査車内.JPG

キハ815、廃車時の様子。
キハ815高砂1.JPG

C571の全般検査、鷹取工場。
鷹取C571キャブバック.jpg

そして門司港駅の夜、旧型客車からなる夜行普通「ながさき」が発車を待つ。
夜汽車ながさき門司港2.jpg

モノクロームの表現方法よ、どうかどうか永遠に。。。
posted by こう@電車おやじ at 21:56| Comment(0) | 鉄道と社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする