2022年10月14日

電車おやじ、北海道へ行く特別編・小樽市総合博物館篇

10月6日に、小樽市の総合博物館に伺うことが出来た。
今回の旅行についての旅程は「電車おやじの鉄な日々」での「旅程篇」をご参照ください。
また、ほかの日のテーマについても同blog、並びに「電車おやじの平凡な日々」をご覧くだされば幸いです。

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こちらではかねてから念願のだった小樽市総合博物館を訪問した思いをお伝えできればと思う。

かつて、北海道鉄道記念館として存在していた時代に一度だけ訪問したことがある。
当時は山裾に機関車や除雪車などを保存していた規模もさほど大きくなく、なんだかなぁと思ったものだ。

まず当時の画像から。
看板のC62 3号機。
今は苗穂にあると聞く。
小樽C623.JPG

C12 6 号機。
小樽C126.JPG

C55 50号機。
S52手宮C5550.JPG

ロータリー式除雪車。
S52手宮ロータリー除雪車.JPG

除雪車キ800。
S52手宮キ800.JPG

明治の客車、い1号。
S52手宮い1.JPG

転車台。
S52 手宮転車台.JPG

さて10月6日、当初の予定を変更して翌日訪問の予定だった小樽市総合博物館を訪問。
国鉄北海道の代表的な車両のほとんどが保存されていると聞き、まさに念願の訪問だった。

手宮口から入ったところに懐かしいC12 6号機と後ろには電気機関車と気動車が。
1006手宮C126.JPG

ED75501 。
1006手宮ED75501 .JPG

キシ80 12・・かつての北海道の特急には必ず食堂車がついていたものだ。
1006手宮キシ8012.JPG

北海道の代表的な一般形気動車だったキハ22。
1006手宮キハ2256.JPG

パッと見、美しいキハユニ25。
1006手宮キハユニ251.JPG

そして急行型3両編成。
キハ27。
1006手宮キハ2711.JPG

キハ27の車内。
1006手宮キハ2711車内.JPG

キロ26。
1006手宮キロ26107.JPG

キロ26の車内。
1006手宮キロ26107車内.JPG

キハ56。
1006手宮キハ5653.JPG

編成を全体から見た様子。
1006手宮キハ5623.JPG

懐かしい急行気動車だ。
1006手宮キハ56ほか急行編成.JPG

しかし、高砂で車両保守をしていた僕の目には哀しい現実も見えていた。
キシ80 12のナンバー部分。
外板の補修が間に合っていない様子がうかがえる。
1006手宮キシ8012サイド.JPG

キハとキロの連結・・ドア回りの痛みが気になるがこれくらいならまだ補修できるだろう。
1006手宮キハ27・キロ27連結部.JPG

キハユニのサイド、塗装こそ美しいが外板の痛みは隠しようもない。
1006手宮キハユニ251サイド.JPG

準鉄道記念物に指定されているキハ82 1があった。
会いたかった車両だ。
1006手宮キハ821.JPG

ED75と並ぶ姿が頼もしい。
1006手宮キハ821ED75509 .JPG

キハ82の全景。
1006手宮キハ821サイド全景.JPG

こちらキシ80 34、ここにはキハ80系の食堂車が2両いる。
1006手宮キシ8034サイド全景.JPG

だが、2両とも痛みがひどい。
特に裾の歪みが目立つ。
これは台枠そのものが歪んでいるのだろう。
1006手宮キシ8034サイド.JPG

夕陽に照らされると余計に歪みが目立つ。
1006手宮キシ8034夕陽.JPG

その部分のアップ。
裾部分が外側に湾曲している。
1006手宮キハ80裾痛み.JPG

ホームが設置している側から・・
裾の歪みがかなり大きいことがわかる。
これは、エンジンや変速機の重みにすでに腐食している台枠が耐えられず、その部分が垂下、つられて側部分が凹む形になっていると見たのだが。
裾部分外板の外側への湾曲もすでにその部分の台枠が用をなしていない状態ではないかと窺い知れる。
1006手宮キハ821側から裾痛み.JPG

追記:
このキシ80 34について、本blogでも過去に出ていた国鉄高砂工場内で撮影していたことが判明した。
なんと、40年ぶりの再会だった。
高砂キシ8034ジャッキアップ.jpg


ここは海のそばで、しかも降雪地帯だ。
鉄の保存車の維持にはかなり厳しい条件だろう。
そのうえ、JR工場の鉄鋼職人たちが支援しているわけではなく、あくまでも補修はボランティアの方々だという。
だがすでに、限界を迎えつつあるのではないだろうか。

電気機関車ED76509.
1006手宮ED75509.JPG

C5550、煙突が折れ曲がっている補修中のようだ。
1006手宮c5550.JPG


ホーム両側に旧型客車が並ぶ。
1006手宮オハ35・スハフ44.JPG

オエ61、61系を名乗るがベースは35系のはずで不思議なクルマだ。
1006手宮オエ6109.JPG

スエ78、なんと三軸台車を履いている。
1006手宮スエ785 - コピー.JPG

その台車部分。
1006手宮スエ785三軸台車.JPG

DD51615 ・・ナンバーが欠品だ。
1006手宮DD51615.jpg

DD14 323。
1006手宮DD14323.JPG

DD1537 、ラッセルヘッドを付けたままなのでカニにみえる。
1006手宮DD1537全景.JPG

DD14 23こちらもラッセルヘッド付き。
1006手宮DD14323.JPG

DD13611・・このタイプの機関車って今保存されているのすごく少ない気がする。
1006手宮DD13611.JPG

DD16 17 美しい機関車だ。
1006手宮DD1617.JPG

DE10 503。
1006手宮DE10503.JPG

キ270、ラッセル車。
1006手宮キ270.JPG

キ718こちらもラッセル車。
面白い顔立ちにみえる。
1006手宮キ718.JPG

キ752・・これもまた楽しい表情だ。
だが彼らが働いた場所は極寒の線路上である。
1006手宮キ752.JPG

昔に来た時にもいたキ601、ロータリー式除雪車。
1006手宮キ601.JPG

昭和30年代のレールバス。
準鉄道記念物。
大切に保管されている。
1006手宮キハ031.JPG

スユニ50、国鉄工場で作られた最終期の郵便荷物車だ。
106手宮スユニ50501.JPG

オハフ33 364・・頑丈で痛みもないが車内は物置と化していた。
1006手宮.JPG



マニ30(大蔵省現金輸送車)・・全く痛んでいない・・当たり前でごついアルミ車体だ。
高砂時代に何度か担当させてもらった。
1006手宮マニ302012.JPG

スハフ441。
この手の客車は基本的頑丈で、保存に耐える。
雨どいの補修がやや残念な気がするが、これはやむを得ないのだろうか。
1006手宮スハフ441.JPG

スハ4514。
1006手宮スハ4514.JPG

30号大勝号。
1006手宮30号機大勝号.jpg

そして園内を走るアイアンフォース号。
1006手宮アイアンホース号.JPG

ワフ29984、半室車掌車だ。
1006手宮ワフ29984.JPG

ヨ7904、全室車掌車。
1006手宮ヨ7904.JPG1006手宮ソ304チキ6141.JPG

ホキ2226、穀物輸送用のホッパ貨車。
1006手宮ホキ2226.JPG

ワムハチ・・ワム80000形式
82506こんな塗装のは見たことがない。
北海道にはいたのだろうか。
1006手宮ワム82506.JPG

セキ7342、これぞ北海道の産業を象徴する貨車だ。
昨今流行りの道外禁止はここから来たか。
1006手宮セキ7342.JPG

無蓋貨車トラ57964、バラストを乗せ気分が盛り上がる。
1006手宮虎57964.JPG

しずか号、これはさすがに建屋の中、本館で丁寧に保管されている。
1006手宮しずか号.JPG

そして非常に貴重な「い1号客車」
開拓当時の貴賓車だ。
ただし、モニタ屋根の中ほどが下がってきていて、これは木製車両のメンテナンスをきちんとしていないことの結果だろう。
このままではやがて屋根が落ちるのではないか。
1006手宮い1号客車.JPG

数えたわけではないが、ほかの方のブログなどによるとここには45両もの車両が集められているそうだ。
中堅鉄道会社が一つできてしまう車両数だが、残念ながら博物館というには車両の痛みが進行しすぎている。
特に昭和30年代の軽量化初期の脆弱な鋼板を使った上に、極端な軽量化のために元々「やわい」構造の気動車は、もはや朽ちていくその姿を見せるとでもいうのだろうか。
(国鉄車両の材質は昭和38年ごろを境に全くそれまでとは違う強いものに改められている)

準鉄道記念物たるキハ82の現状はあまりにも気の毒で、けれどここまで痛んだ車両を復元するというのも、それはかなりの難題だろう。
機関車や旧型客車、貨車、それに除雪車も痛んではいるが、まだ今ならきちんとした手入れをすれば生かしなおすことはできる。
問題は気動車というのがここを期待をもって訪問した僕の偽らざる気持ちだ。

ボランティアの方々の努力は素晴らしいと思う。
自分自身も車両保存運動に関わっていく中で、それがどれだけ大変かも分かっているつもりだ。
だが、気動車の惨状は、すでに補修では済まない、かつてそれら車輌を実際に触った人間として、小樽市、あるいは北海道に言うとすれば、車両を幾分縮小し、JR北海道が置き換えを進めている一世代前の車両と入れ替えて、安全に見られるように再整備されることを心から願う。

これほどの観光資源である。
もっと力を入れてもよいのではないか、そして、ある面では躊躇なく安全なものへ差し替えることも必要なのではないか。

本館屋上から保存車両の全景が見えた。
痛んだ姿でもなんとか見てもらおうと、雰囲気を味わってもらおうとしている車両たち、整備しているボランティアの方々の想いが伝わってきて、秋の北海道の風が冷たく感じられてならなかった。
今年ももうすぐ潮を含んだ雪の季節が来る。
1006手宮縦全景.JPG
posted by こう@電車おやじ at 05:44| Comment(4) | 現況ルポ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする