2021年09月12日

国鉄スカ色(横須賀線塗装色)消滅に思う

コロナ禍のさなか、先ほど終了した東京オリンピック終了と時を同じくして消えた車両のカラー。
しなの鉄道で運用されていた復刻塗装・横須賀線色115系が引退したのだが、この車両がまとっていたカラーこそ、実に戦前、昭和15年(1940年)に実施予定であった幻の東京オリンピックのシンボルカラーだったといわれている。
070201上田115系スカ色S16 .JPG

クリーム1号、青15号と国鉄部内で呼ばれる色合いで、戦後の昭和25年、湘南電車80系を投入し好評を博していた東海道線に対比する横須賀線電車の色合いとして採用されたのが最初だ。
東京オリンピックへの思いを込め、一般には「海の青と砂の白」と説明されたそうだ。
写真は横須賀線の面影を残していた身延線、クハ47だ。
身延線クハ47.jpg

最初から当時最新鋭の80系電車に塗られた湘南色と違い、17メートル級戦前製国電に塗るものであり、茶色一色のイメージしかない中、ごついデザインの電車に塗るには、やはり慎重にも慎重を期しただろうと思う。
荷物電車だが、飯田線で運用されていた17メートル級旧型国電、クモニ13・・
よく似合っている。
豊橋飯田線クモニ13編成.jpg

ちなみにこの色合いは実は20系客車や581系電車、直流電気機関車にも採用され、一時は国鉄を代表する色合いとなっているのだが、使用する車種に応じて塗分けを変えるだけでずいぶんとイメージが変わるような気がしたものだ。
ただ、青の部分が若干暗く、それゆえ、14系寝台車からは青がやや明るい20号に変更された。

スカ色は今も横須賀線の象徴には違いないが、E217系電車の青帯も製造時の青15号から20号に変更されているし、かつてスカ色電車が走り回った千葉県内ではクリームが黄色となり、もはやスカ色とは言えなくなっている。
それゆえ、復刻塗装であるにしても、しなの鉄道115系は「最後のスカ色」だったわけだ。

だが、僕は横須賀線に乗ったことは何度かあれど、まともに撮影したことがない。
特に113系のころはそうで、上京の折には私鉄ばかり追いかけていたからだが、今思えばいかにももったいない。
あのグリーン車2両を挟んだ長大編成を一度は撮っておくべきだったと悔やんでいる。
113東京駅.jpg

地元で湘南色を見慣れた目には、スカ色は清潔感があり、一つ上等に見えた。
その感覚は今も変わらず、岡山に残っている115系電車を一編成でもこの色に塗ってほしいと思うくらいだ。

スカ色は最初に塗られたのが32系電車だったこともあり、旧型国電には特によく似合った。
飯田線では青と白の明るい配色が周囲の景観ともよくマッチしていた。
牛久保駅のクモハ52。
クモハ52003牛久保クモハ42手前.jpg

同じく牛久保駅のクモハ42。
クモハ42牛久保.jpg

東上付近クモハユニ64先頭の編成。
飯田線東上クハユニ64ほか (800x564).jpg

半流クモハ53を間に挟んだ編成。
飯田線東上クモハ54ほか (800x564).jpg

伊那付近、クモハ53・54・クハユニ56からなる列車。
クモハ54・53・クハユニ56飯田線.jpg

豊橋機関区のクモニ83。
クモニ83豊橋.jpg

身延線には横須賀線出自の車両もあり、ここも楽しかった。
32系は電動車が17メートル、付随車が20メートルで、結果として付随車が長く生き残ったわけ。
富士にてクハ47。
身延線クハ47正面.jpg

入山瀬だろうかクハ47。
身延線クハ47停車風景.jpg

クモハ51を先頭にした列車。
身延線クモハ51.jpg

お!
新車かと思ったものの、通過音はツリカケで意表を突かれた62系電車、先頭はクハ66。
身延線クハ66入山瀬.JPG

何所の駅だろう・・クモハ62。
身延線クモハ62.JPG

阪和線でも70系は当初は阪和色での登場だったそうだが、僕は年齢的にそれを見ることはなく阪和快速といえば70系のスカ色だった。
天王寺で。
阪和線天王寺70系区間快速.jpg

京阪神の新快速は当初はスカ色113系での登場、だが15分ヘッドの本格運転開始とともにブルーライナー153系となり、このスカ色新快速を僕は写せていない。

福塩線はそれまでの17メートル国電から阪和線で捻出されたスカ色70系に変更された。
70系が最後まで美しい姿で活躍してくれた線区だがその期間は短かった、
神辺付近で。
福塩線70系アップ神辺.JPG

一時期は非電化区間への直通以外はすべて70系電車だった。
福塩線70系下から神辺.JPG

4両編成の70系が美しい。
福塩線70系神辺編成.JPG

70系は湘南マスクの最高峰のデザインでスカ色としても非常によく似合っていた。
福塩線70系下から神辺反対側.JPG

中央西線でもスカ色の70系を見かけたが、名古屋駅で撮影しただけだ。
名古屋国鉄70系.jpg

80系の旧一等車であるサハ85が3ドア化され、挟まっていた。
名古屋国鉄サハ85101.jpg

80系電車をスカ色に塗った車両は飯田線にもあった。
サハ87のトップナンバー。
豊橋飯田線サハ871牛久保.jpg

前にもこのブログで書いたが、長野県小諸に火急の用事ができ、それは一年近く続いたのだが、合間にしなの鉄道を見ることが出来た。
しなの鉄道の115系は非常に魅力的だったが、特にスカ色の2編成に会えたのは本当にうれしかった。
小諸駅の2連、S26編成。
0212小諸しなの鉄道115系スカ色2連留置.JPG

夜の小諸駅、3連のS16編成、この編成は更新済みで最後まで非常に美しく、非常に引退を勿体なく思ったものだ。
070105小諸115系スカ色S16_01.JPG

長野駅で・・僕が見た最後のスカ色115系。
070228長野115系スカ色S26 +あずさ色S15 発車後追い.JPG

国鉄が作り上げた塗装色の中で最も美しいといっても過言ではない横須賀色。
もはや、これ以上の復刻車両を求めるのも無理だろうか。

千葉駅で撮影したE217系電車。
0725船橋総武快速E217.JPG

伊豆急行、伊東線のスカ色113系が乗り入れていた。
S56伊豆急行国鉄113系8連伊豆高原.JPG

編成中ほど、グリーン車のサロ110、0番台の冷房化されているスカ色は珍しいそうだ。
S56伊豆急行国鉄サロ110-15伊豆高原.JPG

クハ111のアップ。
S56伊豆急行国鉄113ユニット窓車伊豆高原.JPG

府中電車区でスカ色70系、クハ76の並び。
今見ても本当に美しい。
クハ76307府中.jpg

そして想い出のスカ色電車の並び…
クモハ52とクモハ42、牛久保で。
豊橋飯田線クモハ52・クモハ51サイド牛久保 (2).jpg
posted by こう@電車おやじ at 20:56| Comment(4) | 国鉄の思い出 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする