いずれも昭和30年代から50年代にかけての、ツートンカラーの塗分けだ。
まず登場したのが神戸電鉄「メモリアルトレイン」1151F・・
かつての旧型車の色合いだという。
ただ、この色合い、現在記憶に残っている人が非常に少なく、僕の脳裏でもごくわずか、幼少期の思い出の中に、こんな美しい色合いではなくかすれたような色合いで顔を出す程度、神戸電鉄ではすでに当時の調色を覚えておられる人もいないことから、あらためてデザインされたそうだ。
その次が神戸電鉄の「メモリアルトレイン第二段」1357F、グレー地に窓回りをオレンジとした僕にとっては非常に懐かしい色合いだ。
今でもこの色合いこそが神戸電鉄のイメージだととらえる人が多く、デビュー時には感極まって泣き出す人もいたという。
神戸電鉄「メモリアルトレイン」の二つの編成が快走し、沿線住民やファンの心をとらえて離さない中、ついに山陽電鉄でも復活塗装電車が登場した。
かつて「ネイビーブルーとクリームイエロー」と呼ばれ、戦後復興期に820形で採用、実に国鉄80系の湘南色より2年も早く、戦時色を脱し、沿線住民に希望をもたらした塗装だ。
山陽電鉄では社内にこの復刻塗装推進派、反対派があり、これまでも何度も企画されながら実現できなかったとのこと。
今回は未更新・原形を維持する3000系の最終全般検査ということで、ようやく日の目を見たそうだ。
これら復刻塗装電車はいずれも大変美しく、また、色合いに深みが感じられる。
関係者に伺うと、やはり塗料の進化というものがあり、それが見事に反映されているとのこと、嬉しい限りだ。
さてそこで少し、思い出を・・
神鉄1151・・
復刻前の様子を・・・
神戸電鉄鋼製車の現塗装は、この一つ前、二つ前の塗装のイメージに近いイメージでデザインされ、元々あまり違和感がない。
車体幅の狭い1000系列のデザイン上の弱点を隠す意味もあったのかもしれず、現塗装では安定感がある。
藍那にて・・

鈴蘭台へ入線。
鵯越、50パーミル勾配票とともに・・

こちらは1357Fの現行塗装時代。
工事中の鈴蘭台。
長田にて・・・

丸山にて・・
鵯越・・都心近いところが最も山深く感じる、神戸電鉄の妙でもある。
古い写真では、この2編成がきちん写ったのを未だ発見できず、30年以上前の様子は別の編成の写真で・・
まずこちら、沿線にかつて在住され、今も熱烈な神鉄ファンであり、大学教授である岡田氏の撮影に僕が着色した写真だ。
増結用に相模鉄道から購入したクハ131形だ。
僕の幼少期のこの塗装の思い出というのはまさにこの写真のイメージに相当する。

箕谷を行く1109F・・裾に赤帯が入る。
現塗装のひとつ前の塗装がこちらで、裾に赤帯を入れたことで、この系列の顔の細さをカバーし安定したイメージとなる、好きな塗装デザインだ。

こちらは谷上での800系、ツリカケ車だが車体は310系と同じものだった。
最も長く続いた神鉄標準塗装だ。

山陽電鉄は今も昔も僕にとっては地元の電車で、今の3030F、かつての様子がたくさん残っている。
まず現行塗装の様子を少し・・
大蔵谷駅での3615。

垂水での3030・・・

震災直前、板宿を行く3615・・
かつての標準色、ネイビーブルーとクリームイエローの時代の同編成を・・
姫路駅の3630、入線の様子。
昭和51年頃か・・・
先頭クハに幌がついている。
撮影した時は気にも留めなかったが、あらためて見るとなかなか衝撃的だ。
高速神戸駅での3030。
僕のイメージする山陽電車と言えばこの雰囲気だ。
加古川を渡る3615、2両目に2000系をサハ化した3555を連結している。

須磨浦公園での3615。

林崎付近。
復刻塗装と言われる塗装に、この昭和後半の年代のものが多いのは、これは、我々高度経済成長期に生を受けた世代のそろそろ社会的な引退時期であるということと無縁ではないように思える。
鉄道会社の幹部にもかつての色合い、かつてのイメージに思いを馳せ、その姿よもう一度と思う人も多いのだろうし、沿線住民や鉄道ファンが懐かしく受け止めるのも、つまりは、まもなく老成の時期を迎える人たちが青春の頃を懐かしんでくれるというのが大きいのだろうと思う。
かくいう僕も、まさにその一人で、かつて、この両電鉄の沿線で生活し、そこで人生の様々な出来事を経験してきた身としては、、復刻塗装電車はまさに自らの青春を思い起こさせる、自分というものにある意味では今あることの意義を思わせるものであることに間違いはない。
電車は生活の背景である。
決して一部鉄道ファンだけのものではない。
復刻塗装を企画してくれた鉄道会社の幹部たちの思いはまさに、「私たちは沿線の皆様と一緒に歩いてきました」ということの宣言でもあるのだろう。
両社の関係者に伺うと、企画した、あるいはこの作業をした社員が、出来上がった車両を見て涙を流すという。
沿線住民もまさに、涙を流す人が大勢あるのだろう。
鉄道会社と沿線住民の心を改めて繋ぎなおすのが、復刻塗装電車の意義かもしれない。
では、快調に走る復刻塗装電車の様子を・・
神鉄1151Fから・・
小野市垂井にて・・
加古川を渡る・・
鈴蘭台で待機中・・・
昨夏のイベントで、メモリアルトレインの並び。
偶然、長田での並び。
1357F・・木幡にて・・

鈴蘭台車庫付近。
二郎にて・・・
復刻塗装電車は沿線の緑によく映える・・・
山陽3030F・・
八家付近。
こちらも八家で・・昨日撮影したばかりだ。
大蔵谷・・
先頭は3615・・
塩屋にて3615後追い・・
垂水にて、背景に明石海峡大橋の橋桁が写る。
最後に加古川橋梁にて・・・
こうしてみると、僕は子供のころから同じところで写真を撮影していることに気が付く。
そういう気づきがまた復刻塗装電車たるゆえんかもしれない。