2018年12月27日

加古川線のキハユニ15

加古川気動車区に可愛い気動車がいて、利用者から親しまれていた。
湘南型二枚窓を前面に持つキハユニ15形だ。
全国で15両あったキハ44000形電気式気動車を元とした形式で、正面非貫通ゆえにローカル線では使いづらく、結局は編成の端っこに連結されるのが前提の郵便荷物車に改造されたという形式だ。
余談だが、この電気式キハ44000形は日本最初のカルダン駆動の実用車両だという。
(昭和27年、私鉄各社はやっと試作を出した時期でもあった)

加古川線にいたのはキハユニ15の3,6,9で、このうち3がキハ44000形が第一次車の側面一段窓、あとの3と6は上段Hゴム固定、いわゆるバス窓の第二次車だ。

まず、僕が最初に撮影したと思われるキハユニ15の写真を。
写真を拡大してみるとどうやらキハユニ159のようだ。
この列車、2両編成だが、キハユニ15は合造車であり、お客が乗れるのは実質1.5両しかないということになる。
後ろはキハ35、撮影場所は加古川・日岡間の加古川バイパス高架下、昭和51年頃だろうか。
s51日岡キハユニ156.JPG

こちらは加古川駅に進入するキハユニ15先頭の列車。
加古川線キハユニ15は常に加古川向きで連結されていた。
加古川駅北口の情景も映り込んでいる。
キハユニ153加古川北口駅舎.JPG

接近する。
キハユニ153、キハ44000系第一次車の生き残りで、前面スカートを切りこんだ裾と、開閉式(たぶん)小窓に改造された正面窓、それに側面の客車のような一段窓が特徴だ。
キハユニ153加古川北口アップ.JPG

この列車の行先票。
キハユニ153行き先票.JPG

車番。
キハユニ153車番.JPG

夜の加古川駅で郵便荷物の積み込みをするキハユニ153。
キハユニ153加古川夜.JPG

こちらはキハユニ156、もしくは9だ。
昼間の加古川駅で荷物の積み込みをする様子。
キハユニ156?加古川.JPG

鍛冶屋駅でのキハユニ153、当時の鍛冶屋はローカル線の終点ではあったが活気のある町だった・
キハユニ153鍛冶屋.jpg

作業する職員。
キハユニ153鍛冶屋アップ.jpg

キハユニ15は郵便・荷物輸送の廃止に伴い、全車両が引退した。
国鉄車両配置表によると1980年の時点では3両とも加古川気動車区に在籍しているが、翌年には3両とも配置表からは消えている。
高砂工場には愛嬌のあったキハユニ153が廃車として留置されていた。
キハユニ153_2.JPG

廃車時の車内だ。
背刷りの低い小さなクロスシート、決して快適ではなかった。
また、台車のDT19は枕ばねが防振ゴムしかなく、その乗り心地はひどいものだった。
キハユニ151車内.JPG

岡山にいたキハユニ151も同時期に廃車となって連れてこられた。
こちらは正面が貫通式に改造されているが、何かメリットはあったのだろうか。
郵便荷物車の車内を乗客が通り抜けることはできないはずだ。
キハユニ151.JPG

その妻面。
細い車体がよけいに細く見えてしまう。
キハユニ151妻面.JPG

本編がこのブログ2018年最後の更新になります。
この一年のご愛読に深く感謝申し上げます。

皆様にとって良い新年となりますことをお祈り申し上げます。
(なお、筆者喪中につき、新年の祝詞は控えさせていただきますこと、ご承知おきください)


posted by こう@電車おやじ at 07:58| Comment(6) | 国鉄の思い出 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月05日

「サロンカーなにわ」に乗った。

先月11月11日、友人たちから誘っていただき、「サロンカーなにわ」貸切りの「HappyTrain白馬」なるイベント列車に乗せてもらった。
僕はここ最近の旅行の大半は青春18きっぷ利用の鈍行旅行だが、改造35年目の「サロンカーなにわ」は僕にとって数年ぶりのJR特急への乗車という意味合いもある。

最近では自分でもイベント列車のお手伝いをさせていただいたり、お誘いをいただくことが増えたが、それらはすべて私鉄であり、JRのイベント列車というのはかつて写真屋時代に頻繁に乗った修学旅行団体専用列車以来ともなる。
「白馬」と銘打ってはいても、今のご時世でJR西の列車が、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道に乗り入れが簡単に出来るわけではなく、行き先は金沢だ。
なので旅行商品名も「サロンカーなにわで行く古都金沢の旅」なのだけれども、そこは鉄道ファンばかりの列車、行き先よりは列車に乗ることを重点に置き、金沢滞在は2時間弱となっていた。

いずれにせよ北陸本線をEF81が緑色の客車を牽引して走るのは、かの「トワイライトエクスプレス」を彷彿とさせるわけで、この列車の主催者の方々は「トワイライトエクスプレス」を愛してやまない方々だという。

集合場所の京都駅にて点呼、こういった確認作業、座席の設定、弁当の配布、車内イベントの実施などすべてを主催の方々がボランティアで行うのだから、こういう鉄道ファンもあるのかと改めて感じ入った次第だ。

さて列車は定刻に入線してきた。
乗客は鉄道ファンとその関係者、そこへこの列車を撮影しようとして集まった鉄道ファン、さらには、変わった列車を見て驚く一般の乗客の方々、京都駅は一時喧騒の中にあった。
牽引機は僅か2両しか在籍しなくなったJR西日本所属、トワイライトカラーのEF81114だ。
1111なにわ京都入線.JPG

人々の興奮を駅員が冷静に鎮める。
かつての国鉄ではほとんど見なかった非常に美しい女性助役だ。
1111なにわ京都駅員.JPG

列車はすぐ走り出し、車内は大半の方々が何度目かを数える恒例イベントで見知った方々のようで、非常に楽しげでにぎやかだ。

少し落ち着いたころ、展望車へ行ってみた。
湖西線を快走する。
14系客車の乗り心地は素晴らしく、客車列車にありがちな発車、停車、加減速の際のショックもほとんどない。
見事な運転が続く。
1111なにわ湖西線後部.JPG

友人でお誘いいただいたKさん、国鉄時代からの古い友人のOさんと並びの席にしていただき、列車を堪能する。
あっという間に敦賀に着く。
ここでは10分弱の停車時間があり、ホームに出てもよいとのこと。
買い物よりなにより、列車を眺めなくてはならない。

7号車のサイド。
今回の運用では列車の編成が逆になっていて、元々、北陸本線は大阪方が1号車だが、2015年から特急「サンダーバード」が金沢方向が1号車に改められていて、それに合わせたのだろうか。
山陽本線運用ではこちら側が上り方向になるはずだ。
1111なにわ敦賀7号車.JPG

向かいのホームで列車の撮影をする。
EF81114と「サロンカーなにわ」編成全景だ。
1111なにわ敦賀EF81114.JPG

機関車と次位のスロフ14703の連結部分。
1111なにわ敦賀EF81114スロフ14703.JPG

展望車スロフ14703。
1111なにわ敦賀スロフ14703.JPG

2号車、オロ14706。
このクルマが高砂で取り掛かった第一号車だ。
そして僕が実際にメンバーとして作業をさせてもらったクルマで、しかも今は「お召し」に使えるように一部側窓が防弾ガラスに変更されている。
1111なにわ敦賀スロ14706.JPG


中央の車番。
懐かしさがこみあげてくる。
1111なにわ敦賀スロ14706中央.JPG

客車編成を後尾から。
最後尾は半室展望室のスロフ14704だ。
1111なにわ敦賀編成.JPG

車体の銘板、車内銘板はすべて鷹取のものに差し替えられているが、車体には高砂が生きる。
20161103網干なにわ銘板.JPG

ここで既出であるが、高砂での改造時の様子を思い返したいと思う。
オロ14の鋼体改造の様子だ。
外観は片方の出入り台を廃止して、そこに固定窓を設置しているだけで、大きく原型を崩してはいない。
新高砂なにわオロ14改造工事.JPG

展望車スロフ14703の鋼体工事。
展望室側、便所・洗面所を撤去し、そこに展望室を組み立てた。
新高砂なにわスロフ14703工事鋼体.JPG

ダクトは夏場の固定窓車の作業ゆえ、作業用の冷房装置だ。
上の写真と比すと尾灯掛けがついているのが分かる。


新高砂なにわスロフ14703作業展望室側.JPG

車掌室側の工事。
丸妻を切妻に改造した。
ライバル、大宮工場施工の「サロンエクスプレス東京」では、丸妻を残したことで、ここに車端ダンパーを付けることができず、乗り心地の面での不安が残ったが、その点はさすがに「基本に忠実」の高砂工場で、車端ダンパーも取り付け、特急列車としての乗り心地の維持を図っている。
新高砂なにわスロフ14703妻鋼体.JPG

塗装職場で全塗装が完了したオロ14706。
新高砂なにわオロ14706塗装完成2.JPG

場内試運転の様子。
新高砂なにわオロ14入替.JPG

オロ14706の車内。
客室内張は淡いグレーのビニールクロス、クーラーカバーは茶色に塗装され、照明器具の金属部分は金色、荷棚には茶系のプラ製カバーが付いた。
天井右側の斜めになっている個所は暖房器具で、クーラーのように送風の向きを変えることができた。
ただし、頭の上から暖気が来るわけで、この点は当時から改善の要ありと思ったものだ。
カーテンはむき出しの住宅用カーテンレールにキセなしでぶら下がり、雰囲気を盛り上げる。
新高砂なにわオロ14706車内.JPG

仕切ステンドグラス部分。
新高砂なにわオロ14706車内ステンドグラス.JPG

反対側の大型プロジェクター。
カラオケ機能付きだ。
新高砂なにわオロ14706車内プロジェクター.JPG

スロフ14703の完成外観。
新高砂なにわスロフ14703外観二位側.JPG

やや正面寄りにて。
新高砂なにわスロフ14703外観斜め.JPG

まったく丸妻の面影がなくなった車掌室側。
新高砂なにわスロフ14703後位.JPG

スロフ14703の車内。
座席は少なく、この点では座席を工夫してたくさんの人が座れるようにした「サロンエクスプレス東京」の使い勝手に軍配が上がるかもしれない。
内張はアルミデコラを平滑に加工して、その上に住宅用の淡いグレーのビニールクロスを張り詰めた。
天井のクーラーカバーは茶色に塗装され、照明器具の金属部分は金色だ。
総じて当時の喫茶店やバーのようなイメージだった。
新高砂なにわスロフ14703車内展望室.JPG

ビュッフェカウンター。
基本的な調理機能を持ち、列車食堂として営業できるようになっていた。
新高砂なにわスロフ14703車内ビュッフェ.JPG

完成したスロフ14703、車番は「サロンエクスプレス東京」の続番とされた。
新高砂なにわスロフ17703一位側.JPG

職員・家族・施工関係者向けの内覧会にて、まだ幼かった僕の妹二人だ。
新高砂なにわと妹.JPG

公式完成発表会。
後ろの巨大な建屋は木工職場の製材場だ。
新高砂なにわ完成.JPG

1983年(昭和58年)に完成し、各地で展示会が行われた。
これはその時の回送列車を加古川駅東側で撮影した写真だ。
EF651125がけん引してくる。
加古川野口EF651125サロンカーなにわ.jpg

半室展望車のスロフ14704が次位につながる。
加古川野口EF651125サロンカーなにわサイド.jpg

編成中ほど。
加古川野口EF651125サロンカーなにわサイド2.jpg

この時は未だ6両しか落成していなかった。
加古川野口EF651125サロンカーなにわサイド3.jpg

編成全景。
最後尾がスロフ14703で全室展望車だ。
加古川野口サロンカーなにわ全景.jpg

走りだすと、なかなか情報のない当時とあって、「サロンカーなにわ」にまみえることは非常に少なくなった。
見たいとは思ってもいつ走るかわからないことが多かった。
たまたま、快速電車に乗っていて、向かいのホームにEF5812がけん引する「サロンカーなにわ」に出会えた時は嬉しかった。
駅は京都駅だろうか。
EF5812なにわ京都.JPG

「サロンカーなにわ」は、その後、鷹取工場で更新工事を受けた。
外観は金帯が黄色になったくらいで変化は少なかったが、内装は大きく変化した。

網干総合車両所公開の時のスロフ14704、展望室の内部。
ビニールクロスは普通のアルミデコラに改められた。
サロンカーなにわ、現代の車内2.jpg

最近はネットで情報が出回るようになり、時間が合えば近所で撮影を楽しむこともできるようになった。
国鉄色EF65による団体列車、大蔵谷駅にて。
0614EF65サロンカーなにわ大蔵谷1.JPG


舞子にて「サロンカーあかつき」
今の時代に奇跡的に復活した一日だけの夜汽車。
サロンカーあかつき舞子.jpg

トワイライトカラーに改められたEF651124による列車、これも大蔵谷、明石の天文科学館時計塔を背景にやってくる。
0403大蔵谷なにわEF651124b.JPG

朝霧方向へ去る列車。
0403大蔵なにわ客車.JPG

東垂水駅にて。

0409東垂水EF651124サロンカーなにわ.JPG

明石海峡大橋の方向へ・・・
0409東垂水サロンカーなにわ.JPG

夜の垂水駅、今回のメンバーによる貸し切り列車だ。
1008垂水なにわEF651135B.JPG

展望車内ではじゃんけん大会が開かれていたそうだ。
1008垂水なにわ後尾A.JPG

余韻を残し列車は去る・・・
1008垂水なにわ後尾C.JPG

話を先月のイベント列車に戻そう。
金沢へ入線する帰路の列車。
1111なにわ金沢入線.JPG

スロフ14703の車内。
1111なにわスロフ14703車内.JPG

高砂時代の面影もかなり残っているように思う。
1111なにわスロフ14703車内2.JPG

列車は気持ちよく北陸本線を走る。
途中、制輪子に何かを挟んだようで発煙し、安全点検が行われたが、それもクリヤして・・

客車列車というものがこれほどに乗り心地の良いものであるとは…あらためて実感する。
1111なにわスロフ14703後部展望.JPG

日の暮れた京都駅に到着。
35年ぶりの「サロンカーなにわ」への乗車はお開きとなった。
1111なにわ京都到着.JPG

製造45年改造35年、客車ゆえ、難しい制御機器が存在せず、手入れさえ続ければまだまだ使えるとは思うが、今度は機関車が残り少なくなってしまった。

今回の機会にお誘いいただいた友人たちに深く感謝するとともに、「サロンカーなにわ」が少しでも永く、無事故で活躍してくれることを心から祈念する。
posted by こう@電車おやじ at 13:29| Comment(0) | 現況ルポ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする