「電化直前の布原付近」
今回は電化後、二か月ほどしてからの訪問だ。
昭和57年9月と手元の記録にはある。
前回がモノクロばかりでやや結果に不満だったこともあり、今回はコダクロームを多用、また、モノクロのトライxも使っている。
コダクロームのASA(今のISO)64だと、今の撮影条件だと列車には厳しいが、当時は明るい短焦点レンズの時代、シャッター速度の1/250くらいは何とか使えたものだ。
そのコダクロームだが、当時から言われていた保存性は撮影後35年を経てもほとんど退色がない。
西川に沿って走るピカピカの新車、381系電車。
トンネルの上から俯瞰だろうか。
西川橋梁を渡る381系「やくも」
その後尾。
特急「やくも」は全国唯一の気動車エル特急だったが、この年の7月に最新鋭の振り子電車で電車特急の仲間入りをした・
信号所周辺に数件しかない人家の一件を背景に行く。
山の中を瀟洒な新型特急が行く。
西川橋梁を行く「やくも」を流してみた。
当時はニコンFM・FE辺りを中心に使っていたが、シャッター速度や絞りの変更は今のデジイチよりはるかに簡単で素早かった。
カメラを変えてモノクロでの撮影。
山を分け入るように列車が進む。
気動車より。速くなったとはいえ、さして速度は出ていない。
列車が接近する。
この場所の醍醐味はまるでレイアウトのように実物の列車を見下ろせることだ。
さらに進む。
人家の前を通る。
西川にさしかかる。
川を渡る。
だがここは、特急列車だけではない楽しみもある。
貨物列車もその一つだ。
かつてD51の三重連で知られた有名撮影場所だが、この頃はDD51が重連で走る列車もあった。
茂みからDD51が重連で現れた。
長い貨物列車を強力DD51が重連で牽引していく。
ゆっくりとカメラを変え、カラーでも撮影できる。
またDD51が現れた。
珍しい単機だ。
今度は下り貨物列車、牽引は一機だ。
先へゆっくり進む。
そして普通列車も・・
気動車は百鬼夜行的な伯備線列車は電車化されたが、いかにもローカル線然とした芸備線列車が健在だ。
旧来のキハ20・23という2両編成。
ゆっくり進む。
前後するがこちらが新見行きだろう。
木枝の間からキハ20と23が見えた。
キハ23が行く。
気動車の最新鋭、キハ47がやってきた。
新型でもキハ47には旧来の気動車のイメージが残る。
西川を渡るキハ47の2連。
伯備線普通列車は電車化され関東から転属の115系が中心になった。
当時は面白くなくなったと嘆いたものだが、今見るといいなぁと思う。
115系が田園の中を走る。
あのモーター音を山々に木霊させて走ったことだろう。
足元のトンネルを115系が出てきた。
最後尾はクモニ143だ。
気動車時代もよくキハユニがつながっていた路線だけに電車化されてもクモニが必要だったのだろう。
モノクロで・・西川を渡る115系電車。
接近する普通電車。
山から川べりに降りた。
ここでも腹いっぱい、山の空気を吸い川のせせらぎを聞きながら、列車を待つ。
至福の時間だ。
DD51牽引貨物列車がやってきた。
381系が顔を出す。
走り去る381系。
この場所はこれ以後も何度か列車で通過はするのだが、これ以降の再訪ができていない。
噂では山の樹々が育ちすぎて俯瞰が利かなくなっているという。
だが、それでもいい。
またあの、川のせせらぎと列車の姿の至福を味わいたいものだと思う。