2017年05月30日

国鉄高砂工場新系列客車の記録

今回は高砂工場でのシリーズ最終回、12・14・20・24系客車の写真だ。
ただ、あまり多くを撮影しておらず、しかも、「サロンカーなにわ」の写真が中心となること、お許し願いたい。

当時最新鋭だったオハネ25、走行距離が長く、頻繁に工場に入場していた。
このクルマは宮原所属、当時の「日本海」「つるぎ」の車両だろう。
新高砂オハネ25番号不明.JPG

こちらは向日町所属だから、九州特急のものだ。
50系との連結なんて、国鉄現場の内部でしか見られない。
新高砂オハネフ25大ムコ.JPG

オハネ2538が工場建屋間を移動する。
左が入場建屋、右が旅客車主棟だ。
新高砂オハネフ2538移動.JPG

スハネフ14の寒冷地改造。
現車はすでに「きたぐに」でも運用されていたが、北海道へ転用とのこと。
折り戸から引き戸への改造が外観上最大のポイントだ。
新高砂スハネフ14寒冷地改造工事中.JPG

出車建屋でのスハネフ14、当時、すでに長年の使用による疲れが見えるようになっていた。
新高砂スハネフ14寒冷地完成.JPG

完成し試運転に出る前のスハネフ14。
新高砂スハネフ14寒冷地出車.JPG

24系と20系の間に位置するのがカニ25、九州の小倉工場での改造だが、向日町へ転じてきたもの。
一度は全般検査をしたが、二度目の入場時は廃車解体だった。
新高砂カニ251サイド.JPG

連結面側から
(車掌室のある客車は車掌室と反対側が「前位」となる・・つまり国鉄部内ではこちらが前)
新高砂カニ251斜めサイド.JPG

カラーで、お顔の部分。
新高砂カニ251横顔.JPG

屋根の部分。
新高砂カニ251屋根.JPG

スハフ12、横の建て看板、「Tク」は鉄工職場現場の略。
つまり、鉄工作業中。
新高砂スハフ12.JPG

20系客車のシンボル、ナハネフ2225。
全般検査前の入場で。
この車両はいまも西宮の山中に現存と聞く。
一度見てみたいものだ。
新高砂ナハネフ2225.JPG

ナハネ20。
20系客車独特の幅広の貫通路、手動の折り戸。
新高砂ナハネ20サイド.JPG

ナハネフ23の外板修理の様子。
この車両ではワタシが担当して、鉄工職場のT君と組んで修理していた。
しかし、下降窓付近の腐食がひどく、思ったより大工事になってしまった。
新高砂ナハネフ23改修.JPG

サロンカーなにわ、その第一号の施工がオロ14706だった。
番号は「サロンエクスプレス東京」の続きになっている。
現車は品川からの転属らしい。
当時の余剰車を掻き集めての工事だった。
新高砂なにわオロ14改造工事.JPG

外観塗装が完成した。
新高砂なにわオロ14706塗装完成.JPG

全景。
新高砂なにわオロ14706塗装完成2.JPG

車内の工事もほぼ出来上がりつつある状態。
新高砂なにわオロ14706車内工事中.JPG

表記も仕上がった。
新高砂なにわオロ14706塗装場.JPG

別のオロ14も仕上がった。
新高砂なにわオロ14番号不明出車.JPG

こちらは展望車、スロフ14703の鋼体工事。
特徴的な展望室の形が出来上がりつつある。
新高砂なにわスロフ14703工事鋼体.JPG

室内での作業も始まった。
夏の季節だったのか、スポットクーラーを用いている。
窓の開かない特急車両など、スポットクーラーがなければ夏場の作業などできない。
新高砂なにわスロフ14703作業展望室側.JPG

妻部の工事、旧来の丸妻車掌室部分を切妻に改造、車端ダンパもつけられる。
新高砂なにわスロフ14703妻鋼体.JPG

完成した「サロンカーなにわ」
新高砂なにわスロフ17703一位側.JPG

展望車の車掌室側。
まったく改造である事がわからない。
大宮で施工した「サロンエクスプレス東京」はこの部分が丸妻のままだった。
デザイン的にはあちらが洗練されていたが、工事の丁寧さ、乗客へ乗り心地の提供という点においては、高砂の気骨を示した格好だ。
新高砂なにわスロフ14703後位.JPG

威風堂々の展望車。
新高砂なにわスロフ14703外観斜め.JPG

今になって思えば、この形であったからこそ、時代を超えて愛されているのではなかろうか。
新高砂なにわスロフ14703外観二位側.JPG

オロ14706の完成した車内。
カーテンキセのない横引きカーテン、クーラーカバーは茶色に塗装され、荷物棚には濃い茶系のカバーがついた。
新高砂なにわオロ14706車内.JPG

ステンドグラス部分。
新高砂なにわオロ14706車内ステンドグラス.JPG

反対側のプロジェクター、当時としては高価なナショナル製のものだ。
新高砂なにわオロ14706車内プロジェクター.JPG

完成した展望車の入換作業。
どこかのんびりした、播磨の工場らしい雰囲気が漂う。
新高砂なにわオロ14入替.JPG

展望車、スロフ14703の車内。
新高砂なにわスロフ14703車内展望室.JPG

ビュッフェのカウンター。
天井は白のクロス、シャンデリアなどの金属部分は金色、木製の開き戸、そして豪華なカウンター、当時の喫茶店文化をそのままここに移植したような雰囲気だ。
新高砂なにわスロフ14703車内ビュッフェ.JPG

完成、報道発表の日の「サロンカーなにわ」
「我々の技術力を世間に知らしめ、工場の存続を図る」そのシンボルがこの車両だったわけだ。
新高砂なにわ完成.JPG

家族にも公開された。
写真はワタシの妹たち。
新高砂なにわと妹.JPG

最近、網干総合車両所で行われた工場公開での「サロンカーなにわ」車内。
鷹取における更新工事で、高砂の作り上げた喫茶店風のイメージから脱却し、鉄道車両らしくなった。
サロンカーなにわ現代の車内1.jpg

展望室の様子。
車内はかなり洗練されたものとなっていた。
サロンカーなにわ、現代の車内2.jpg

わが地元を行く最近の「サロンカーなにわ」フル編成。
JR西日本、唯一のジョイフルトレインの生き残り、登場から35年になるがどうか末永く活躍してほしい。
サロンカーなにわ現代大蔵谷駅.jpg

posted by こう@電車おやじ at 07:47| Comment(5) | 国鉄部内の思い出 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月04日

国鉄高砂工場、一般型客車の記録

今回は高砂での客車の記録だ。
20系以降の新系列客車は次の機会とし、普通列車や急行列車に使われた客車たちの工場での姿を紹介したい。
なお、一部にこれまで未公開だった写真も含まれるほか、過去に公開した写真も再スキャンのうえサイズアップして公開したい。

オハ35、戦前の標準型原型を保った美しい姿。
竜華の所属だが車両区記号は書き換えたあとがあり、和歌山か亀山からの転属だろうか。
番号不明。
新高砂オハ35番号不明初期型.JPG

オハ641、和田岬線用の究極的通勤客車とでも呼べるもの。
中ドアは高砂での設計施工で、このシリーズは全般検査では僕も深くかかわってきた。
新高砂オハ641.JPG

オハフ33455、こちらは戦後製のキノコ型と呼ばれる妻形態を持つ。
屋根は鋼板製だ。
新高砂オハフ33455斜め.JPG

それの別の日に撮影した一枚。
新高砂オハフ33455別日.JPG

前にも出したがオハ35を改造というか、車番変更したオヤ304、オハ31系出自だった前車と入れ替えて出場した。吹田操車場の通勤用だ。
新高砂オヤ304.JPG

オハ41シリーズはいずれも通勤ラッシュの激しい線区に投入された、元優等車両で全て2ドア化、ロングシート化されている。

番号不明、オハ41が並べられている。
350番台だろうか。
岡山の伯備線電化や新型客車投入による余剰で廃車になったもの。
新高砂オハ41.JPG

オハ41351、元特ロ、43一党に相当する二等車出自。
新高砂オハ41351.JPG

オハ41365、こちらも同じグループ。
新高砂オハ41365.JPG

オハ41367。
新高砂オハ41367.JPG

このグループの車内。
オハ41共通だが、全長18メートルにも及ぶ「ロング」シート。
しかし、通勤時しか使われず、それも大抵のところで1~2往復で終わりという使われ方で、廃車時にも傷みはほとんどなかった。
新高砂オハ41車内.JPG

オハ41454、スロフ53からの改造車で、客車の中では異色とも言える狭い吹き寄せの明快な窓配置が特長だった。
新高砂オハ41454全景.JPG

そのアップ、アルミ窓枠が似合う、見るには美しい車両だ。
新高砂オハ41454アップ.JPG

オハ4154、オロ40からの改造車で、35一党の広窓をさらに一回り広くした窓を持っていた。
新高砂オハ4154.JPG

その車内。
新高砂オハ4154車内.JPG

窓、窓が大きくなる分、かなりの重量増になる。
オハ35やスハ43で用いられた釣り合いバネでは、ややバネの復元力が足らず、傷むバネの交換が多かった記憶がある。窓幅は1200ミリだった。
新高砂オハ4154窓.JPG

オハネフ1213、夜行鈍行「南紀」に使われていた車両で、写真は廃車時のものだが、前回入場の再の大規模な補修跡が見える。
水抜きが不十分な加工窓、弱い材質、冷房化工事での無理な負荷が重なり、製造20年でほとんど使い物にならないくらい劣化していた。
新高砂オハネフ1213.JPG

オハネフ12の妻面。
新高砂オハネ12妻.JPG

製造・改造銘板。
短い一生の間に二度も大掛かりな手が加えられた事が伺える。
新高砂オハネ12妻銘板.JPG

車内。
解体前提ですでに鏡がはずされている。
新高砂オハネ12車内.JPG

寝台。
20系とは異なり、中段寝台が座席使用時の背もたれになる。
背もたれの上の壁面は開く事ができた。
新高砂オハネ12寝台.JPG

全般検査の作業中。
新高砂オハネ12工事中.JPG

オロネ10、「きたぐに」で使われいたもの、
廃車時に3両が並べられた。
オロネ102032ほか。
新高砂オロネ102032.JPG

オロネ102039サイド中央のアップ。
オロネ10はほかの10系客車と異なり、腐食部分が少なく、最後まで上質な雰囲気を保っていた。
新高砂オロネ102039サイド.JPG

オロネ102032ほか。
新高砂オロネ102039ほか.JPG

オロネ102032の中央部。
新高砂オロネ102032中央.JPG

オロネ102066。
新高砂オロネ102066.JPG

オロネ10の車内。
絨毯がはがされ、寝台も付属品がない状態でも上質さがうかがえる。
新高砂オロネ10車内.JPG

寝台、昼間は折りたたんでボックスシートとして使う。
新高砂オロネ10寝台.JPG

喫煙室。
非常口の部分に簡単な喫煙室があった。
新高砂オロネ10喫煙室.JPG

スロフ622021、全般検査で整備前の解体作業が終わったところ。
当時、天鉄も団体用途に一編成、このシリーズを有していた。
新高砂スロフ622021.JPG

スロ622047、ネガではこの車番が読み取れる。
天王寺所属表記だが、資料によれば品川にいたクルマ、ただし、写真でも所属表記が書き換えられているのがわかる。
新高砂スロ622047入場作業.JPG

スロ622070、スロ81系お座敷客車への改造工事。
編成中の「山城」になったようだ。
この81系客車は、システム的には12系とそろえられていた。
新高砂宮座スロ622070改造工事.JPG

その側面。
新高砂宮座スロ622070.JPG

スロ62のスロ81への改造作業。
すでに外観の作業が完了している。
新高砂スロ62お座敷改造工事解体.JPG

ナハ10102、現場では嫌われた10系客車は見るには美しかった。
新高砂ナハ10102.JPG

客車の通風器。
外した部品は専門の職場できちんと整備される。
作業前の積み上げの様子。
新高砂通風器.JPG

蓄電池。
車軸発電機により発生した電気は蓄電池を使って保存され、照明や放送に使う。
考えれば客車はエコ設計だった。
新高砂蓄電池.JPG

マヤ342007、以前のエントリー「事業用車の記録」で掲載漏れだったもの・・
この形式が今も存在することに驚きを感じている。
新高砂マヤ342007.JPG

オハフ50、50系客車は一般客車の置き換えように自動ドア装備で登場した。
けれど、基本的な考え方は旧型客車と変わらず、そういう意味では時代に置き去りにされる運命をもっていたのかもしれない。
新高砂オハフ50.JPG

最後に、高砂工場の奥にとどめられていたスロ601。
廃車解体と指図されても、現場の心ある人には、エポックメイキングな車両は貴重な資料であると認識する人もあり、こうして長年解体されず保管されていた。
けれど、その間に車内は虫の巣となり、屋根も崩壊してくる。
結局、保存されず解体されてしまった。
新高砂スロ601.JPG
posted by こう@電車おやじ at 21:32| Comment(4) | 国鉄部内の思い出 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする